裁判業務

       
裁判業務と司法書士

裁判業務と司法書士

貸金や家賃・敷金、損害賠償などを請求するなど、裁判所に訴えや申立てをするとき、私達司法書士は、皆さんに代わって書類を作成し、訴訟手続を応援いたします。
また、平成15年4月に施行された改正司法書士法により、新たに法務大臣の認定を受けた司法書士については、簡易裁判所における訴訟代理業務が認められるようになりました。
簡易裁判所は、「貸したお金を返してもらえない」「売買代金を払ってもらえない」「家賃を払ってもらえない」・・・などのトラブルで請求金額が140万円以下の身近な事件を普通の訴訟のような難しい手続ではなく、簡易な手続で迅速に解決するために設置された裁判所です。 我々司法書士は、この簡易裁判所で皆さんに代わって弁論したり、調停や和解の手続をすることができます。
もちろん、裁判外でも、代理人として相手方と和解交渉をしたり、紛争性のある事件について相談を受けてアドバイスをしたりすることが可能です。
法律の専門家として、市民の皆様の身近な裁判のお手伝いをする司法書士。困ったときはお気軽に、まずはご相談ください。

未払賃金・残業代請求・不当解雇

残業代請求・未払賃金の相談
残業代請求権は、他の請求権と比べて早く時効で消滅してしまいます。
通常の債権は10年間(商売上の債権は5年間)で時効にかかり消滅してしまいますが、給与の債権は2年で時効にかかってしまします。
例えば、平成27年4月に残業代請求したいと思っても、平成25年3月以前に発生した残業代は時効にかかってしまい、基本的には請求しても認められません。
残業代もチリとつもればかなり高額になりますが、最大でも2年分しか認められないため、退社をしてから時間を置いてしまいますと、どんどん請求できる残業代が減っていってしまいます。
司法書士は140万円以内の簡易裁判所での代理権を有します。
また、140万円を超えていても、業務として裁判所に提出する書類を作成することが可能です。

残業代請求・未払賃金に関する相談において必要な書類

(1)タイムカード
(2)給与明細書
(3)就業規則
(4)労働契約書
(5)業務日報、運行日報
タイムカード

勤務してたこと、勤務時間を証明するための資料です。
これが有るのと無いのとでは、裁判手続きでも運び方も変わってくるので、是非とも欲しいところです。
タイムカードがなければ、パソコンのログやメモ書きでもかまいません。

給与明細書

給与明細があれば、勤務していたことや、月々の基本給が判明します。
引いては、残業代の単価を計算するために必要ですので、是非とも給与明細書は手元に残しておいてください。

就業規則

就業規則は、会社の内部での労働条件や規律を定めた規則です。
就業規則は、書面による交付、常時事業場の見やすい場所への掲示又は備え付けなどによって労働者に周知しなければならない(労働基準法第106条)。
ですので、建前としては、会社に請求すれば見せてもらえるはずです。
「これから残業代を請求するみたいで、会社から目をつけられないか」と心配もあるでしょうから、「ファイナンシャルプランナーに資産の相談していて、退職金の規定について確認したい」などと言ってみると怪しまれないかもしれません。
どうしても難しい場合は、管轄の労働基準監督署にて閲覧できる場合もございますが、いろいろと制約があり、労働者に認められる権利ではありません。
労働基準監督署で説明するためにも、一度は会社に就業規則の謄写を請求すべきかと思います。

労働契約書

いわゆる雇用契約書です。
必ずしも契約書が交わているわけではありませんので、会社に採用を応募した際の募集要項、ハローワーク求人票などがあれば保管しておいてください。

業務日報、運行日報

外回りをする営業マンさん、配送のドライバー、長距離トラックの運転手さんの場合は、日報を残していると思います。
それらの日報はコピーして手元に置いておきましょう。
また、ドライバーの場合、タコグラフを保管していると思います。
タコグラフがあれば運転している時間がわかり、およそ勤務時間と判断できるため、タコグラフも是非保管しておいてください。

労働審判

労働審判は平成18年4月からスタートした比較的新しい制度です。
以前労働問題を解決するのに通常の裁判をするしかありませんでしたが、その場合には相手方も本格的に争ってきますし、争点を洗い出すのに、何カ月もかかって時間と費用がとてもかかりました。
そこで、通常の裁判よりも少ない負担でトラブルを解決できる制度として創設されたのがこの労働審判制度です。

労働審判のデメリット・メリット

労働審判のメリット
事件を速やかに解決させることが可能
一番大きな特徴としては、労働審判は3回以内の期日で審理を終えるということです。そのため労働審判を申立ててから、3~4か月ほどで労働審判が終わることが多く、事件を速やかに解決させることが可能です。

裁判所で行われる手続きですが、通常の裁判より柔軟な解決を図ることができ、まずは調停によって話し合いによる解決を目指すことになります。
労働審判のデメリット
資料も早めに提出しなければならない。
審理は3回までしかありませんから、申立には準備をしっかり行い、証拠となる資料も早めに提出しなければなりません。
通常の訴訟のように、相手方から文書提出を求めたり、「この点は負って主張します」などというように争点をしっかり証明し合う手続きではないので、準備はしっかり行う必要があり、時には証拠が弱いために、自分の主張がバッサリと認められないこともあります。

労働審判の対象とならないケース

労働審判法第5条にはこのように規定されています。
「当事者は、個別労働関係民事紛争の解決を図るため、裁判所に対し、労働審判手続きの申立てをすることができる」
したがって、以下のケースは、労働審判の対象外とされています。

労働組合を通しての争いごと
”個別”労働関係なので、労働者が労働組合を通してその会社の労働者全体として争うような紛争は対象外となります。
労働トラブルとはいえないもの
労働者との間のトラブルは、対象外となります。
しかし、その労働者が使用者側で、セクハラやパワハラの責任があるということで、労働審判を申立てることは可能です。

労働審判の利用のための判断材料

労働審判を利用するにあたって、一般的には以下のような判断基準です。

  • 3回の審理で解決できそうか
  • お互いに歩み寄りができるか
  • 証拠がそろっているか

その中で、「解雇無効を求める」「未払い賃金・残業代を請求する」「配転命令・出向命令の無効を求める」「セクハラによる慰謝料請求」などが労働審判を利用して解決されやすいといえます。


よくある質問

Q.どのような裁判手続きをお願いできますか?
A.私ども認定司法書士には、請求額140万円までで簡易裁判所管轄での民事訴訟の代理権があります。
この点のみで言えば、弁護士と同じです。
請求額が140万円を超える場合には、訴状等の書面作成という形で支援ができます。
裁判所は以前と比較して、かなり柔軟になってきましたが、まだまだ国民にとっては敷居が高く手続きも難解です。
ご自身の法律上の権利を主張し、それを実現するために、まずは相談から始めましょう。
Q.どのくらいの期間がかかりますか?
A.裁判の期間については、最短で約1ヶ月~最長で約6ヵ月とみてください。
最短で1ヶ月というのは、裁判所へ訴状を提出すると約1ヵ月後の期日を指定されます。
その期日に相手方がなんら書面を提出せず欠席した場合にはそこで判決が出て終結となります。
しかしながら、相手方が臨戦態勢を整え争ってきた場合には、和解がまとまらず次回期日を指定されて続行するといったことになります。
ほとんどの場合、裁判期日は1ヵ月に1回ですが間に年末年始があるとその間隔は2ヶ月に1回となることもあります。
なるべく、和解に向けた解決を主とする現裁判制度において、当事務所でも最長でも3回目の期日でまとめるよう尽力しております。
Q.担保ってなんですか?
A.担保とは、大きく分けて【1】人的担保と【2】物的担保があります。
【1】については、「連帯保証人」が該当します。
【2】については、不動産などに付ける抵当権や宝石などに付ける質権(質入れ)があります。
いずれも借金の保証である点については共通します。
金を貸す側からすれば、借りた人が果たしてちゃんと返してくれるかどうか不安です。
その不安を分散する役割が、「担保」にはあります。
図らずもその不安が的中したとしましょう。
【1】の場合には、借りた人の代わりに「連帯保証人」が返済します。
このとき、「連帯保証人」は自分の借金じゃないから払わないという反論はできません。
【2】については、強制的にその物(不動産や宝石等)を転売してその売り上げを借金の返済とするものです。
自宅を抵当に入れている場合には、引越しをしなければなりません。
宝石等は、もう自分の物ではなくなります。
保証(担保設定)契約をするときは契約書をよく読んで、わからないことがあればすぐに質問しましょう。
後日、痛い目を見ないために。
Q.お金を返してくれない。
A.あなたと借主の署名及び印鑑(できれば実印)のある契約書はありますか?
もしあれば裁判手続きによる回収をやや有利に進めることができます。
しかしながら、友人間や親族間などの親しい間柄では、なかなか契約書までは作成しないというのが現実だと思います。
その場合でも、相手方と連絡が取れれば第三者(司法書士等)が間に入ることにより交渉して、裁判等をせずに解決に至ることもしばしば見受けられます。(和解交渉)
いずれの場合においても具体的には、まず内容証明郵便を相手方へ送付して、反応をみるのが良いと思います。
記載する内容につきましては、定型の書式等を参考にしながら、作成するとよいでしょう。
その後、反応があれば和解交渉、なければ裁判手続きへというのが通常の流れになるでしょう。
Q.家賃を支払わない借主がいます。
A.原則としてまず、内容証明郵便にて溜まった家賃を請求します。
こちらも定型の書式等があります。
そこで、どのタイミングで内容証明郵便を発送するかですが、単なる家賃滞納であれば、「約3ヶ月分の滞納」というのが1つの目安ではないかと思います。
もっとも、貸主であるあなたは、1ヵ月でも滞納したら出て行って欲しいとお考えでしょうが、いざ裁判となった場合1ヶ月程度ではなかなか認めてもらえないのが現状です。
さらに強制退去(強制執行)手続きに入ると保証金等でかなりの費用を貸主側で負担しなければならず、期間も長期に渡ります。
これらの理由から、なるべく円満に退去させることが肝要となってきますが、これはかなり難しい問題です。
実際、借主の任意の支払い及び退去を促すようにして、裁判をしても「和解」、裁判をしない場合でも「和解」が最も賢明な方法と言えます。
Q.損害賠償、慰謝料を請求したいのですが。
A.害賠償請求や慰謝料請求は、まずあなたがどんな損害を受けたか?さらにいくら請求するか?という点について詳しくお話するようにしてください。
例えば交通事故で車やバイクが傷つき壊れた場合は、修理に要する見積書や代車のレンタル契約書なども必要となってきます。
また、その他支出した費用についての領収書等は必ず保管しておいてください。
請求額算定の基礎となります。
一方、慰謝料のように具体的な損害額の算定が困難な場合には、こんなに大変な思いをしたとか、ひどい仕打ちを受けたなど精神的なダメージを書面によって表現しなければなりません。
しかしながら、メディアなどでも言われておりますが慰謝料について、裁判所はかなり少額しか認めていないのが現状です。
損害賠償や慰謝料を取れるかどうかの判断については、特に相談することをお勧めいたします。
Q.相続放棄したい
A.族が亡くなった場合に多額の負債または財産関係が全く把握できず、おそらく負債過多に陥っているなどの理由で、相続人の方が相続放棄の手続きを行いたいという相談は非常に多く見受けられます。
相続放棄は、家庭裁判所へ申し立てを行い、受理されて初めて「当初から相続人ではない」ということになります。
費用は家庭裁判所へ収入印紙で800円、郵便切手が400円となっています。
申立書には、亡くなった方の戸籍一式や住民票の除票など必要な書類も一緒に提出することになります。
申し立てをした後は、家庭裁判所の指示に従い、書類の提出などを行って、およそ1ヶ月で終了します。
補足として相続放棄は亡くなった日から、3ヶ月以内に申し立てを行わなければならないとされておりますが、この期間は杓子定規に適用されませんので、詳しくはご相談ください。