会社の登記(商業登記)

       
会社の登記(商業登記)

会社の登記(商業登記)と司法書士

商業登記は、株式会社などの法人について、設立(誕生)から清算(消滅)にいたるまで一定の事項を法務局で登記することにより、法人の内容を社会一般の人に公示することで、法人を巡る取引の安全を実現する制度です。 司法書士は、これら商業登記手続きについて、書類の作成や申請代理業務を行います。 登記の種類にはいくつかあり、法人の内容に生じた変化の原因に応じて申請する登記の種類が決められています。

主な例としては、次のとおりです。
登記の原因 申請する登記の種類
新たに会社を作りたい

会社設立登記

代表取締役や取締役、監査役などの会社役員が変わった

役員変更登記

会社の名前や目的を変更したい

商号変更・目的変更登記

会社の本店を移転したい

本店移転登記

事業拡大のために資本を増加したい

増資の登記

会社経営をやめたい

解散・清算結了の登記

これらの書類については司法書士が代理することはできず、ご自身でされるか、税理士にご依頼いただくかしていただく必要がございます。  

商号変更・目的変更登記

本店移転の登記

会社(本社)の所在地を移転した場合には登記をする必要があります。

「本店移転登記」は定款に本店についてどのように定めているかによって手続きが異なります。また、同じ法務局管轄内で移転する場合と別の法務局管轄へ移転する場合でも手続きや登記費用が異なりますので、お気軽にご相談ください。 注意すべきは、移転先にすでに同一・類似の商号で営業している会社があるかどうかです。 移転先の地域で有名な会社と同一・類似の商号で同じ商売をしてしまったり、不正な目的で他の会社と勘違いさせるような商号で商売をしていると、商号の差止請求を受けたり、損害賠償請求を受ける場合があります。 したがって、移転される場合には後日トラブルが起こらないよう事前に商号の調査をお勧めします。 本店移転の変更登記は、原則として定款変更の決議後、本店所在地では2週間以内、支店の所在地では3週間以内に申請しなければなりません。
 

資本金の増資・減資

増資においての理由は様々です。事業規模拡大のための資金調達や、役員からの借入金を資本金に組み入れるデッド・エクイティ・スワップなど、戦略的な意味合いが非常に大きいものです また、減資といっても単に会社規模の縮小といったマイナスのイメージではなく、こちらも戦略的な減資もあります。資本金の額を減少して税制上の優遇措置を受ける場合や、欠損の補てんを行うためなど減資の理由は様々です。 いずれにしても資本金の増減は会社法などの法令に則った厳格な手続きが要求されますので、ぜひ事前にご相談ください。

増資の方法と流れ

 増資の3つのパター

資本金を増加させる『増資』には様々な方法があり、それぞれ手続きが非常に厳格かつ煩雑です。代表的な方法を以下にご紹介します。

 ① 募集株式発行(第三者割当)

会社が特定の第三者に、出資金と引き換えに新株を割り当てる方法です。最も多く用いられている割当て方法といえます。通常その会社の役員など関係の深い者に対して行われます。場合によっては株主の利益を損なってしまうことがあるため、株主総会の特別決議が必要で、一株の払込金額やスケジュールなどを注意しなければなりません。

 ② デッド・エクイティ・スワップ

この方法は、役員などの会社に対する貸付金(会社の債務)を株式に返還する方法により資本金に振り返るというもので、現物出資の一種になります。現物出資の一種ですので原則裁判所の選任した検査役か弁護士等の評価証明が必要ですが、ほとんどのケースで不要となります。 ③ その他利益剰余金の資本組入 貸借対照表上のその他剰余金の額がある場合、現金や物を会社に引き継ぐことなく、貸借対照表上での変更をするものです。株主総会の普通決議で行え、簡易に済ませられる手続になります。  

増資の流れ

ここでは①の募集株式発行(第三者割当)を例に増資の流れをご紹介します。②のデッド・エクイティ・スワップも基本的には同じ流れになりますので参考にしてください。

 ① 発行可能株式総数の確認

会社が発行できる株式の総数は定款に定められています。この定められた数以上の株式を発行することはできませんので、確認しておくことが必要です。万一この数以上の株式を発行しなければならないときは、あらかじめ定款変更をしてさらにそれを登記しておく必要があります。

 ② 株主総会の決議

株主総会または取締役会で次の事項について定めなければなりません。 ・ 株式の数 ・ 一株当たりの払込金額 ・ 金銭以外の財産の場合はその内容・価格(現物出資) ・ 払込(金銭以外の場合は給付)期日または期間 ・ 増加する資本に関する事項

 ③ 株式の申し込み予定者への通知

会社は申し込み予定者に以下の事項を通知しなければなりません。 ・ 商号 ・ 上記の募集事項 ・ 払込場所(金融機関) ・ その他法務省令で定める事項(会社法施行規則第41条)

 ④ 株式の申込

株式の申し込み予定者は原則として書面で申し込む必要があります。申込書に記載する内容は以下の通りです。 ・ 氏名または名称・住所 ・ 引き受けようとする株式数

 ⑤ 割り当て決議

取締役会または株主総会で誰に何株割り当てるかを決定します。

 ⑥ 割当株数の通知

会社は払込日または払込期間の前日までに上記で決定した割当数を申込者に通知します。

 ⑦ 出資金の払い込み

通知を受けた申込者は払込日または払込期間中に出資金を払込む(財産を給付する)必要があります。

 ⑧ 登記申請

登記申請書に必要書類を添付して法務局に登記申請をします。
 

減資について

減資は赤字の解消に効果的であるほかにも、税制上の優遇を受けたり、助成金の申請のためなど目的をもって行われることがあります。中小企業の場合、増資をする際は短期間で登記申請まですることが可能ですが、減資の場合は【債権者保護手続】という手順があるため1~2か月程度の時間が必要です。事業年度末までに手続きを完了させなければならない事情も出てくるかもしれません。余裕をもってご相談ください。

減資の流れ

 ① 株主総会の特別決議

減資の決議は原則として株主総会の特別決議となります。 株主総会で以下の項目を決定します。 ・ 減少する資本金額 ・ 資本準備金とする場合はその旨とその額 ・ 効力発生日

 ② 債権者への減資公告・催告【債権者保護手続】

減資を決議したら以下の事項を官報に公告しなければなりません。 ・ 資本金等の額の減少の内容 ・ 計算書類に関する事項として法務省令で定めるもの(会社計算規則第152条) ・ 一定期間内(1か月以上)に異議を申し立てることができる旨 また、原則として官報公告とともに会社が把握している債権者に対しては個別に催告をしなければなりません。

 ③ 異議のある債権者への対応【債権者保護手続】

会社は上記の公告・催告により債権者から異議があったときは、原則として弁済・担保の提供・信託等の対応を取らなければなりません。

 ④ 登記申請

登記申請書に必要書類を添付して法務局に登記申請をします。
減資を行った場合は税務上の処理が必要になる場合があります。専門の弁護士・税理士をご紹介いたしますのでこれらを含めてご相談いただくことが可能です。  

1. 医療法人

医療法人の種類

医療法人社団
複数の人が集まって設立された法人であり、法人設立のため、預金、不動産、医療機器等の備品を拠出して設立する法人です。 なお、医療法の改正により、現在は社団である医療法人は出資持分のない法人しか設立することはできません。 法人が解散したときは医療法及び定款に定める方法により残余財産を処分します。 なお、改正前の医療法において設立された医療法人社団には、出資持分のある法人や、払戻しに際し出資額を限度とする旨が定款において定められた出資額限度法人があります。
医療法人財団
個人又は法人が無償で寄付した財産に基づいて設立される医療法人で、財産の提供者(寄付者)に対しても持分を認めず、解散したときは医療法及び寄付行為に定める方法により残余財産を処分します。 【定款・寄付行為】法人の目的・組織・活動・構成員・業務執行方法等についての基本規則を定めた文書を、社団法人においては「定款」と呼び、財団法人においては「寄付行為」といいます。

医療法人設立の手続きの流れ

医療法人設立認可申請をできる時期は、都道府県によって定められており、それ以外の時期に申請を行うことはできません。 認可の申請は、年2回行っている都道府県が多いようですが、地域ごとの具体的な日程は各都道府県に問い合わせをしてください。 医療法人を設立するまでのスケジュールは、各都道府県によって異なりますが、概ね以下のようなスケジュールとなります。 通常、仮申請から認可書が交付されるまで半年程度かかる長い手続きとなります。
1. 医療法人設立説明会
都道府県によって説明会や事前相談会が行われます。
2. 定款・寄附行為(案)の作成
3. 設立総会の開催
発起人全員で設立総会を開催し医療法人の基本的事項を決定し、議事録を作成します。
4. 設立認可申請書の作成
5. 設立認可申請書の提出(仮受付)
一般的に年2回の受付、締め切りは各都道府県により異なります。
6. 事前審査
各都道府県で設立認可申請書の審査が行なわれます。設立代表者に対してのヒアリングも行なわれます。
7. 設立認可申請書の作成
8. 設立認可申請書の提出(本申請)
9. 医療審議会での諮問
医療法人の認可について審議されます。
10. 医療法人設立認可についての答申
医療法人設立を認可する旨の答申が行なわれます。
11. 設立認可書の交付
12. 設立認可書の受領
13. 医療法人設立登記
医療法人設立認可後、2週間以内に管轄の法務局で登記を行います。
14. 登記完了(医療法人設立)
15. 拠出金の払込み
基金の払い込みは基金拠出契約書に定められた日までに行われます。 理事長が拠出を行っている場合は、利益相反となるため『特別代理人』の選任申請が必要です。
16. 登記完了届の提出
登記完了届および登記簿謄本を各都道府県または保健所に提出します。
17. 保健所への各種届出
  • 病院(診療所)開設許可申請
  • 病院(診療所)使用許可申請
  • 病院(診療所)開設届
  • 病院(診療所)廃止届(個人開設)
18. 社会保険事務局又は社会保険事務所への各種届出
保険医療機関指定申請書・保険医療機関遡及指定願、その他の届出
19. 税務署他関係書類の提出
税務署等諸官庁へ事業開始に伴う各種届出

医療法人設立のデメリット・メリット

医療法人設立のメリット
経営体質の強化
病院の経営と医師個人としての収支を明確に分離し、法人会計を採用することで適正な財務管理ができます。
社会保険診療報酬支払基金から支払われた診療報酬が源泉徴収されないため、資金を有効に利用できます。
個人経営の場合、理事長に万一のことがあった場合、診療所を廃止し相続人である医師が新たに開設しなければなりません。 これに対し医療法人の場合、継続して診療所を経営することが可能となり、スムーズな事業承継対策や相続対策等を計画的にすすめやすくなります。
医療基盤の拡大
個人経営では認められていない分院開設が可能になります。 さらに、医療法人化により、今後需要拡大が予想される有料老人ホーム・老人保健施設や訪問看護ステーションなど介護事業を運営することができるようになり、幅広い事業展開が可能となります。
節税効果
  • 役員給与を受けることにより、給与所得控除の適用が受けられます。
  • 親族を役員にすることにより、役員報酬を支払うことができます。
  • 医療法人にすることにより退職金の支給が可能となります。
  • 生命保険料の支払い額を法人の損金(経費)として処理できます。
医療法人設立のデメリット
付帯業務の制限
医療法人の医業に付随する業務(付帯業務)は、医療法人の主たる業務に支障がない範囲で運営が許可されていますが、その業務範囲は制限されています。 もちろん非営利性の観点から営利事業は行えません。
社会保険への加入義務
社会保険が強制適用となり、役員及び従業員は健康保険・厚生年金に加入しなくてはなりません。 その分、法定福利費の支出が増え負担が増加します。 なお、健康保険については、一定の手続きにより医師国保・歯科医師国保へ加入し続けることが可能です。 (個人病医院の場合、常勤の職員が5人未満であれば社会保険への加入義務はありません。)
事務手続の増加
医療法人は設立後に定期的な届出が必要になりますので事務手続きが増加します。 決算事業年度終了後に決算の届出、および、総資産の変更登記、並びに、変更登記にかかる届出が必要となります。 また、定款の記載事項に変更があった場合は、都道府県知事へ定款変更認可申請書を提出し許可を得る必要があります。
残余財産の分配禁止
医療法人が解散した場合、残余財産の帰属先は『国、地方公共団体、又は他の医療法人等』に制限され個人への分配は認められません。
交際費の損金算入制限
個人経営の場合、交際費は全額損金、つまり経費として認められていますが、医療法人では資本金の額に応じて制限があります。
利益金の配当禁止
医療法人は『非営利性』を求められるため、剰余金の配当が禁止されています。 したがって、利益が出た場合でも出資者に対して利益の配当はされず、剰余金は医療充実のための設備投資や退職慰労金の原資に充てるほか、全て積立金として留保しなければなりません。 また、配当ではないが、事実上利益の分配とみなされる行為も禁止されています。 医師個人は、原則として役員報酬を受け取ることになり、役員報酬以外の自由に処分できる資金がなくなります。
医療法人のその他の登記 役員変更の登記

役員のうち、理事長については登記をしなければなりません。理事、監事の任期は2年を超えることはできない(医療法第46条の5第9項)と定められており、理事の中の長である理事長も理事の任期の満了で退任することとなります。その際には、社員総会及び理事会の決議で再任するか他の方が理事長に就任するかして、その理事会決議の日から2週間以内に登記をしなければなりません。

   資産の総額の登記

医療法人の登記事項の一つに資産の総額という項目があります。これは、毎年の決算で作成した貸借対照表のうち純資産の部に計上された額を表しており、この額に変更があった場合には、その変更の登記をしなければならないというものです。基本的には毎年何らかの変動があるため、この登記は毎年出さなければならないという事になります。

 

2. 社会福祉法人

社会福祉法人の登記とは?
社会福祉法人とは、社会福祉法の規定に基づいて、社会福祉事業を行うことを目的として設立された法人です。 社会福祉法人は、社会福祉事業の主たる担い手として、その提供する福祉サービスの質の向上や事業経営の透明性の確保がもとめられております。

社会福祉法人の設立の流れ

定款の作成・所轄庁に設立認可の申請
所轄庁の設立の認可
設立の登記(認可の日から2週間以内)
社会福祉法人の成立
財産目録記載の財産に関する登記
所轄庁への財産移転完了届の報告 (財産産移転終了後1か月以内)

社会福祉法人設立の要件

役員に関する要件
(1) 理事
  1. 定数が6名以上であること。
  2. 各役員と配偶者、三親等以内の親族の関係にある者が、役員の総数の2分の1を超えないこと。
  3. 社会福祉事業についての学識経験を有する者または地域の福祉関係者を加えること。
(2) 監事
  1. 定数が2名以上であること。
  2. 監事のうち1名は財務諸表を監査することができる者、1名は社会福祉事業についての学識経験を有する者または地域の福祉関係者であること。
  3. 各役員と配偶者、三親等以内の親族の関係にある者が、役員の総数の2分の1を超えないこと。
(3) 評議委員会
  1. 措置委託事業、保育所経営事業、介護保険事業のみを行う法人を除き、必ず設置すること。
  2. 評議員の定数は理事数の2倍を超えること。
  3. 法人の施設の整備または運営と密接に関連する業務を行う者が評議員総数の3分の1を超えないこと。
  4. 地域の代表を加えること。
  5. 利用者の家族の代表を加えることが望ましい。
資産に関する要件
(1) 施設を経営する法人(下記のいずれか)
  1. 原則、社会福祉事業を行うために直接必要なすべての物件について所有権を有していること。
  2. 国または地方公共団体から貸与もしくは使用許可を受けていること
(2) 施設を経営しない法人

原則として、1億円以上の基本財産を有していること。

3. NPO法人

NPO法人の設立登記とは?
NPO法人の設立は、所轄庁から認証書が届いたらそれでOK!ではありません。法務局で「法人登記」を行って、はじめて法人が成立します。 法人登記とは、あらゆる法人が、組織の重要事項を登録し、社会に公開する制度。NPO法人も法律によって、登記を行うことが義務付けられています。 しかも、嬉しいことに、NPO法人の登記は、登録免許税が免除されています!(株式会社だと、設立登記の登録免許税は15万円!) 認証日から半年を過ぎても設立登記をしていない場合、認証取消しの対象となってしまいますので、うっかり忘れないように注意しましょう。

NPO法人の設立までの流れ

1. 法人代表者印を作成する
まず、法人代表者印を作成しましょう。 一般的には、直径1cm~3cmの丸印で、二重丸の真ん中に「法人代表者印」、外側に法人の名前を彫ります。 これを法務局に届け出て、会社の実印として使用します。 せっかくなので、この他に、銀行口座用に使用する銀行印や、日常的に発行する領収書等に押す角印、また会社名のゴム印なども作っておくと便利です。
2. 管轄の法務局を調べる
次に、主たる事務所の所在地を管轄する法務局を調べます。 法務局のHP「管轄のご案内」が便利。商業・法人登記管轄区域をみて、法人の主たる事務所の所在地が該当する場所を確認しましょう。なお、登記申請は、郵送でもできますが、書類に不備があったら、そのやりとりだけでも大変。法務局の相談窓口では、書類の書き方や添付書類の揃え方など、詳しく教えてもらえますので、余裕があれば、訪問や電話で事前相談することをお勧めします。
3. 登記申請する日を決める
設立登記は、認証書到達日から2週間以内に申請しなければなりません。 登記申請書が受理されてから完了まで1~2週間かかりますが、法人の設立日は、この完了日ではなく、申請書が受理された日付で登記されます。認証書到達から2週間以内という制限はありますが、その中で好きな日付を設立日にすることが可能です。
4. 設立登記申請書を作成する
次に、設立登記申請書を作成します。記載する事項は次の通りです。 「名称」-法人の名称を省略せずに記載。「主たる事務所」-定款では最小行政区画までの場合でも、登記申請書には住所を全て記載。「登記の事由」-認証を受けたことを記載。「登記すべき事項」-申請書に書き込まず、CD-Rにデータ保存して提出。「認証書到達の年月日」-認証書を受け取った日付を記載。「添付書類」-添付書類の名称と通数を記載。また、記載事項ではありませんが、書類に不備があった場合に連絡してもらえるよう、電話番号と担当者名を余白に鉛筆で書いておくことをお勧めします。
5. 登記すべき事項のCD-Rを作成する
登記すべき事項は、以下の通り。これらをパソコンの「メモ帳」機能等を利用してテキスト形式で作成し、CD-Rに保存して提出します。印刷した用紙を添える必要はありません。 「名称」-法人の名称を省略せずに記載。 「主たる事務所」-定款では最小行政区画までの場合でも、ここでは住所を全て記載。 「目的等」-定款に記載した事業の目的、特定非営利活動の種類、事業名をそのまま転記。 一般的な定款では第3条~5条にあたる部分。 「役員に関する事項」-氏名、資格(理事)、住所を記載。定款で理事長等に選定された特定の理事のみが法人を代表すると定めた場合、その理事だけを記載。 代表権を制限せず、理事全員が法人を代表できる場合は、理事全員を記載します。 「資産の総額」-設立当初の法人の正味財産の額を記載。NPO法人は0円でも設立できるので、当初の財産がなければ0円と記載。 「解散の事由」-NPO法で定められた解散の事由の他に、定款で独自の解散理由を定めた場合は記載。 「登記事項に関する事項」-設立と記載。
6. 添付書類を作成する
必要な添付書類は以下の通り。各1通ずつ提出します。 提出した書類は戻ってこないので、コピーと原本を提出し、登記官が内容に相違ないことを確認すると、原本を返してくれます。コピーには、それぞれの末尾余白に、「これは当法人の●●である」と記載し、特定非営利活動法人の名称、主たる事務所、代表権のある理事の資格及び氏名を記載し、法人代表者印を押印します。「定款」-各ページの綴り目に法人代表者印で契印する。契印とは、隣り合うページの折り目に押印し、万が一バラバラになってもセットであったことを照合できるようにすること。袋とじにした場合は、表紙と帯、裏表紙と帯に、それぞれまたがるように押印する。 「認証書」-所轄庁から届いた認証書がこれにあたる。「資産の総額を証する書面」-設立当初の財産目録を作成して使用する。「代表権を有する者の資格を証する書面」-登記すべき理事の就任承諾書がこれにあたる。代表権を制限している場合は、理事の就任承諾書に加えて、理事長等への就任承諾書も合わせて提出する。 なお、定款で、主たる事務所の所在地を最小行政区画にしている場合は、登記する住所に間違えがないことを示すため、「主たる事務所の所在地を確認した会議の議事録」も添付書類に加えてください。 設立総会の議事録に記載があればベストです。
7. 印鑑届出書を作成する
設立登記の際には、印鑑届出書も同時に申請します。 この手順の最初にも書いた、法人代表者印、これを法務局に届け出る作業です。印鑑届出書の様式は、法務省のHPからダウンロードできます。これに必要事項を記載して、理事長の個人の実印で届け出ます。3か月以内に取得した、理事長個人の実印の印鑑証明書も添付します。 印鑑カードの交付も同時申請します。印鑑カードがないと、届け出後、印鑑証明書を取得することができません。
8. 登記申請と印鑑届出を行い、補正があれば対応する
申請書が受理されると、登記完了予定日がわかります。 通常、受付カウンターに掲示されていますが、わからなければ聞いてください。だいたい1週間程度で完了します。その間に書類が審査され、不備があれば書類の補正を求められますので、対応します。登記申請書に電話番号を書いておくと、電話連絡で連絡がもらえますので、ぜひ書いておきましょう。
9. 登記が完了したら、登記事項証明書と印鑑証明書を取得する
登記が完了したら、さっそく、登記事項証明書と印鑑証明書を取得しましょう。 登記事項証明書は、所轄庁に原本を1部提出しなければなりません。事務所にも原本を備えおきたいので、少なくとも2通は取得します。また、印鑑証明書は、銀行口座の開設等に必要ですが、提出はコピーで良い場合もあります。当面原本提出の必要がなければ、まずは1通取得します。なお、それぞれの取得にはお金がかかります。 取得申請の際、収入印紙で手数料を納めます。 収入印紙は法務局内で販売していますので、事前に購入しなくても構いません。
10. 登記完了届を所轄庁に提出する
登記事項証明書を取得したら、所轄庁に、設立登記完了届出書を提出します。 所轄庁の様式に記載し、登記事項証明書の原本とコピー、登記申請の際に提出した設立当初の財産目録を添付して報告します。詳しくは所轄庁にご確認下さい。以上で、設立登記は完了となります。
上記は2014年の情報です。 記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

設立登記の完了まで3~5ヶ月程度かかりますので、NPO法人はその他の株式会社やLLP、LLCに比べてかなり時間がかかるといえます。 設立手続きを自分ですることも可能ではありますが、かなり煩雑な作業になると思いますので、お気軽にご相談ください。


よくある質問

Q.株式会社と有限会社はどう違うのですか?
A.会社法施行前は、有限会社法にもとづき、有限会社が設立できました。会社法施行(平成18年5月1日)とともに有限会社法は廃止になりましたので、現在は、有限会社は設立できません。
Q.登記申請はどこにすればよいのですか?
A.商業登記の事務は,営業所の所在地(会社の本店)を管轄する法務局若しくは地方法務局若しくはこれらの支局又はこれらの出張所が管轄登記所としてつかさどるものとされています(商業登記法第1条の3)。 つまり,会社の本店をどこに置くかによって,管轄登記所が定まり,当該登記所に登記申請を行うこととなります。
Q.会社を作りたいのですが、どのような手続きをすればいいのですか?
A.会社を作る場合、会社の種類によって多少手続きは異なります。 例えば株式会社を作るには、まず会社の設立メンバーである発起人が、定款を作成しなければなりません。定款とは、会社の商号や事業の目的、役員の選任方法など、会社を運営する上での根本的なルールを定めるもので、国で言う憲法にあたるものです。 定款に必ず記載しなければならない内容は法律で定められていますので、記載漏れがないか注意が必要です。  定款を作成したら公証人に認証してもらい、会社の資本金となるお金を準備する必要があります。そして、発起人全員の話し合いにより会社の役員や具体的な本店所在場所などを定めたら、所定の事項を記載した会社の設立登記申請書を法務局に提出する必要があります。
Q.商業登記制度は、何のためにあるの?
A.会社は、定款で定められた目的の遂行に必要な範囲内で、その会社の名において権利を取得し、義務を負担することができます。しかし、会社と取引をしようとする者は、会社の存在そのものを五感によって認識することはできませんから、会社の存在・内容を確認する方策を講じなければ、安心して取引をすることができません。そこで構築されたのが、商業登記制度です。
Q.会社の設立日を自分で決めることはできないの?
A.会社は、登記所で登記されたときに成立します。実務では、登記所に設立登記を申請し、無事に登記が完了すると、登記を申請した日が成立日となりますので、希望の設立日がある場合は、不備のないように申請書類を整えて、設立希望日の登記所開庁時間内に管轄の登記所に設立登記を申請する必要があります。土・日・祝日・年末年始は登記所は閉庁日ですので、設立日とすることはできないことになります。