企業法務

       
企業法務

企業法務と司法書士

日本の企業の99%は中小企業です。
その中で、法務部のある企業は数少なく、コンプライアンスを順守する体制づくりは難しいものです。

会社法に強い司法書士が株主総会に関する手続きや予防法務の観点から各種契約書の作成等により経営者の方々をサポートいたします。

1. まずは相談

企業法務のご相談とは?
司法書士は、会社法の専門家として法律の改正への対応だけにとどまらず、株主や債権者などへの対応、法的な文書の整備、ストックオプションの発行、株式公開の支援、企業再編、取引上のトラブルや事業承継などの問題についてもアドバイスをすることができます。
また、簡易裁判所の訴訟代理権が付与されたことにともない、会社の代理人として140万円以下の事件の訴訟対応をすることも可能となっています。

企業法務を司法書士にご依頼した際の主な業務

増資などの登記
当事務所では、登記に必要な各種書面の作成はもとより、会社債権者に対しての公告や催告手続きなど、増資の登記に必要となる手続きを一括してお手伝いさせていただきますので、是非お気軽にご相談ください。
定款認証
株式会社設立を設立するためには定款を作成し、公証人による認証を受けることが必要です。
司法書士に株式会社設立を依頼した場合には、司法書士が代理人となって公証役場での定款認証手続きをおこないます。
議事録などの作成
会社運営上、定款の記載事項を変更したり、それに伴い株主総会や取締役会の議事録を作成しなければならない場面は多々あります。
また定款を変更したことによって、登記をしなければならない場合も出てきます。
(登記は原則として2週間以内に申請しなければならず、これを怠ると、100万円以下の過料に処せられることがあります。)

2. 役員の変更

役員の変更登記について
  • 役員(取締役・監査役・理事など)が就任・退任をした。
  • 役員が任期満了により再任した。
  • 医療法人にすることにより退職金の支給が可能となります。
  • 代表取締役の住所が変わった。
上記のような変更がございますと、2週間以内に登記をする「義務」が生じます。
役員の変更登記を怠ると・・・
会社・法人登記で重要なのが、登記をし忘れていると過料という罰金を支払わなければなりません。
これが結構な高額となることが多く(1年懈怠・放置で約4万円程度)、延滞の期間によりさらに加算され高額となってきます。
※不動産登記は懈怠・放置による過料がないので、会社・法人登記も同じだろうとお考えの方は注意が必要です。

さらに、厄介なのが、登記をし忘れているという通知が送られてくるわけでもないのです。

会社・法人は私人と異なり、あらゆるところで厳格な義務が生じます。
また信用という観点からも義務の遂行は非常に重要です。
義務を懈怠・放置していると認可・融資・助成などのチャンスを失うことにもなりかねません。

3. 合併

吸収合併
会社が他の会社とする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後存続する会社に承継させるものをいう。
新設合併
二以上の会社がする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併により設立する会社に承継させるものをいう。
吸収合併の登記手続
会社が吸収合併をしたときは、効力発生日から2週間以内に、存続会社においては変更の登記を、消滅会社においては解散の登記をする必要がある。 なお、存続会社の変更の登記と消滅会社の解散の登記は同時に申請する必要がある。
合併の登記申請に必要な書類
  • 吸収合併契約書
  • 合併承認の株主総会議事録、種類株主総会議事録(存続会社、消滅会社)
  • 略式合併、簡易合併の要件に該当することを証明する書類(株主名簿や貸借対照表、上申書など)
  • 合併契約を承認した際の取締役会議事録(簡易合併または略式合併の場合に株主総会を開催しない会社の場合)
  • 合併に反対の意思を通知した株主が有する株式の総数を証する書面(簡易合併の場合)
  • 社債権者に対して公告および催告したことを証する書面(存続会社、消滅会社)
  • 異議を述べた債権者に対し弁済もしくは相当の担保を提供し、もしくは信託したことを証する書面、または合併をしてもその者を害するおそれがないことを証する書面(存続会社、消滅会社)
  • 資本金の額が適法に計上されたことを証する書面(資本金の額が増加する場合)
  • 消滅会社の登記事項証明書(作成後3ヵ月以内のもの)
  • 株券の提出に関する公告および通知をしたことを証する書面(消滅会社が株券発行会社である場合)
  • 株主名簿など株券を発行していないことを証する書面(株券が発行されていない場合)
  • 株予約権証書の提出に関する公告および通知したことを証する書面(消滅会社が新株予約権の発行会社である場合)
消滅会社が所有する不動産の移転登記
消滅会社が所有する登記された不動産については、合併により存続会社に包括的に承継されるため、所有権移転登記が必要となる。
必要書類は合併後の存続会社の登記事項証明書である。

合併のデメリット・メリット

合併のメリット
個々の財産の移転手続等が不要
合併の効果は包括承継なので、契約関係、権利義務、従業員等を承継させるための個別の手続が必要ありません。
多くのシナジー効果が期待できる
組織が一体となりますから、双方のノウハウを生かし相互補完により大きなシナジー効果を得ることができます。
買収資金が不要
対価としては株式を交付すればよいので、買収資金は不要です。
合併のデメリット
厳格な手続を踏む必要がある
合併をするには、株主総会特別決議、書類の備置・閲覧、反対株主の株式買取請求、債権者保護手続等の厳格な手続を踏む必要があります。
もっとも、一定の要件を満たす大規模会社による小規模会社の吸収合併の場合には株主総会特別決議は不要であり、取締役会決議で足りるとする簡易合併の制度があります。

4. 後継者問題

経営者にとって重要な経営課題のひとつが「事業承継」
ファミリー企業であっても以前のように「息子や弟が後を継いでくれる」ということも減り、近年は「後継者がいない・・・」と悩む経営者の方が増えています。
事業承継に失敗してしまうと、事業存続の危機になりかねません。
しっかりと計画を立て、それに向かって事業承継を進めていくことが経営者の経営手腕でもあります。
事業の継続で大切な次世代への引き継ぎ
「事業拡大が優先」「後継者の確保が難しい」「社内外への影響が心配」と言って事業承継を先送りしていませんか?
事業承継とは、経営者が後継者にその役職や株式、不動産などの資産を後継者へ引き渡すこと。
会社を引き継ぐ後継者は事業とともに創業者や先代の経営理念などを引き継いで、事業をより発展させていくことが求められます。
もちろん会社としても、その後の事業計画に関わる重要なタイミングとなります。

事業承継の許認可等について手続き

個人事業者の場合
個人事業者の場合、取得されている許可は後継者に承継できないのが原則です。
そうすると新たに許可を取る際の人的要件を満たすように準備する必要があります。
後に記載する法人であれば、許可は法人に与えられたものなので、後継者が配偶者やご子息等の親族の場合、個人事業から法人化(法人成り)の検討をされた方が、いざという時に事業承継はスムーズに進められます。
法人化される場合、建設業の許可要件を満たしたうえで、法人を設立し、なるべく早く後継者の方に取締役に就任してもらいます。
万が一現社長になにかあっても、後継者の方が取締役に就任してから5年が経過していれば、経営業務の管理責任者の変更届の提出で事業承継できます。
ただし、株式会社に法人成りした場合、職員の人数に関係なく、社会保険加入の義務付けがあります。
法人の場合
建設業の許可要件を満たしたうえで、親族等の後継者の方が法人の取締役に就任して、5年が経過していれば、経営業務の管理責任者の変更届の提出で事業承継できます。

5. 承継

事業承継の方法

親族内事業承継
親族内事業継承」とは、子息や子女、兄弟など親族を後継者とする事業承継のこと。
日本はこれまで、欧米に比べてこのファミリー企業とも呼ばれる「親族内事業承継」を行う会社が大半でした。
何代にもわたり暖簾を守る老舗企業などがありますが、近年はその割合がだんだんと減っています。
厳しい経営を強いられる現在、「息子だから」といって経営者の子息が後継者になったとしても、経営能力がなければ事業を悪化しかねません。
親族を後継者にしたい場合はとくに、後継者の足りないスキルを補い、教育に力を入れるなど時間をかけて事業承継を進めていく必要があります。
親族外事業承継
「親族外事業継承」は、親族内に後継者がいない場合などに、従業員等を後継者とする方法です。
後継者には、会社の役員や従業員などのほか、取引先の金融機関などから後継者を選ぶ、あるいは、外部の経営のプロに引き継ぐ場合もあります。
また、親族である後継者が幼いために、一時的な中継ぎとして従業員等に事業承継する場合もあります。
この事業承継も、周囲の理解を得ることに始まり、後継者の育成や株式・財産の分配などを進めていきます。
M&Aによる第3者への事業承継
また、どうしても後継者を見つけられない場合、会社を売却して第三者に経営を託す方法もあります。
企業の合併や買収を行うM&Aです。
現在は後継者不足に悩む中小企業も多く、M&Aによる事業承継も増えています。
M&Aによる事業承継の場合、買い手側の会社はまず、弁護士などの専門家に売却予定会社の精査を依頼するのが一般的。
回収不能な債権や債務保証などがあれば、そうした債権などがどのくらいあるかを調べ、会社の企業価値を判断します。
こうした調査や精査を経て売却金額が決まり、会社法等に準じて売却が実施されます。

後継者に事業承継する場合の注意点

後継者への経営権限の集中を!
厳しい市場での競争やさまざまな法規制などがあり、現在の会社経営は厳しい環境に置かれています。
後継者には、会社の事業を発展させていくという強い意思と使命感が求められます。
一方、現在の経営者は、後継者候補が次期経営者に適しているかどうかを判断しなければなりません。
そして、適任者がいなければ、第三者へ事業承継をしていくことも検討する必要があります。

上手に事業承継を行うためには、後継者に経営権と事業用資産を集中させることが必要で、これは事業承継における法務対策のひとつです。
後継者には相続税等も発生しますので、納税負担に耐えられるよう、相続税軽減などの税務対策もしておきましょう。
また、これらに合わせて、後継者以外の相続人への財産相続に配慮していくことも必要です。

事業承継を相談する

登記関係は司法書士にご相談を!
事業承継を進めるにあたっては、後継者選びとその教育、法務・税務対策、従業員や関係先への調整など多方面への対策が必要です。
登記関係は当司法書士事務所がプロとしてサポートいたします。

よくある質問

Q.企業法務とは、どのようなことですか?
A.企業法務とは、一般的には、経済活動を行なう主体(企業)の活動や取引から生じる種々の法律問題の予防、解決などの分野を言います。

具体的には、債権回収(売掛金回収)、労務、内部統制、契約書の作成・チェック、取締役会議や株主総会の運営、新株発行、クレーマー処理などなど、広範囲に及びます。法務部のある会社では、その部署が扱う事柄です。

企業法務は、法律上の用語ではありません。
様々な法分野の知識、経験が総合的に要求される部門と言うことが出来ます。
Q.仕事上のミスが多い従業員を解雇することができますか?
A.仕事をする上での能力に問題がある場合は、普通解雇の対象となり得ます。
ただし、就業規則上に普通解雇の定めが必要であり、その上で、解雇に客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められない場合には、解雇が無効とされる場合がありますので注意が必要です。

業務全体にどれほどの支障があるのか、当該従業員の適性から他の業務に転換できないか、教育によって改善の見込みがないかなどを踏まえた上で慎重に判断する必要があります。
Q.遅刻が多い者を懲戒解雇することができますか?
A.遅刻は、決められた就業時間内に労務を提供するという労働契約の履行がなされていないということになりますので、懲戒解雇の対象となり得ます。
ただし、就業規則上に懲戒解雇の定めが必要であり、その上で、解雇に客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められない場合には、解雇が無効とされる場合がありますので注意が必要です。
懲戒解雇の対象となる遅刻の程度は、一概に回数だけでは判断できません。
業務に支障を来す程度、職場秩序に与える影響、本人の改善の見込み等から総合的に判断する必要があります。
Q.セクハラの加害者のみを労働審判手続で訴えることはできますか?
A.労働審判手続の対象は、個別労働関係民事紛争すなわち労働契約の存否その他の労働関係に関する事項について個々の労働者と事業主との間に生じた民事に関する紛争です(労働審判法1条)。
例えば、解雇や賃金などの支払に関する紛争などはこれに当たります。
これに対し、集団的な労使関係に関する紛争や、加害者個人のみを相手方とするセクハラなどの紛争は対象となりません。

したがって、セクハラの加害者のみを労働審判手続で訴えることはできないことになります。
Q.株式会社をつくるのに最低いくらくらいかかるのですか?
A.定款認証時に公証人役場で、印紙代4万円、定款認証代5万円、謄本交付手数料約2,000円が、登記申請時に法務局で、登録免許税が15万円、印鑑作成代が約5,000円、資本金が1円、合計約25万円が必要となります。
Q.株式会社をつくるのに最短で何日くらいかかるのですか?
A.どのくらいの規模の会社をつくるのかによりますが、定款作成に2~10時間、必要書類作成に2時間、法務局の定款相談に2時間、公証人役場の定款認証に2時間、法務局の登記申請に1時間で、移動時間を入れても24時間、1日あれば可能ということになります。